No.6 『搾母乳の管理』

 東北北部も梅雨入りしました。暑かったり肌寒かったりと体調を崩しやすい時期かと思いますが、いかがお過ごしですか。毎年この時期には、冷えから来る身体の悪循環のためか乳房のトラブルも起きやすく、「乳栓のつまり」や「しこり」の相談が多い傾向にあります。ご自身でできる対処法として、<①授乳直前に乳房を温める ②「ポジショニング&ラッチオン」(ブログでも以前扱っています)に気をつけながら授乳する>を是非お試しください。少し意識するだけで、「つまり」や「しこり」がスーッと改善することがありますよ。ただし、このやり方は炎症症状がない場合のみにお勧めします。

さて、今日は【搾母乳の保存方法】についてのおはなしです。

赤ちゃんが母乳を欲しがる時に満足な分を飲ませ、お母さん側もすっきりとするならば、搾乳をする必要はありませんね。しかし、さまざまな理由から赤ちゃんと長時間離れる場合には、事前の搾乳が必要なケースがあります。保育園に冷凍母乳を持参されるお母さんもいらっしゃることでしょう。防腐剤など、もちろん一切含まれない非常にデリケートな母乳。これからの季節、特にその保存には気をつけたいものです。下記の表に示されるように、搾母乳には保存方法によって目安となる<保存期間>があるので覚えておきましょう。

 <健康な乳児に与える場合の保存期間>

保存方法 保存期間
室温(26℃) 4時間
冷蔵庫(4℃:新鮮) 72時間
完全解凍➔冷蔵庫保存(4℃) 24時間
1ドア冷蔵庫冷凍室 2週間
2ドア冷蔵庫冷凍室(-20℃) 3-6ヶ月
クーラーボックス(15℃) 24時間

*これらの保存期間はあくまで「めやす」だと捉えてください。冷蔵庫の開閉や室温によっ て庫内温度が一定に保たれないことを考慮し、出来るだけ早めに使用しましょう。                                  *搾母乳は「食品」として安全に取り扱うよう心がけます。タッパーや、フリーザーバックなどの容 器に入れて保存なさるとよいでしょう。

次は【冷凍母乳の解凍方法及び解凍時の注意点】です。                              

流水、微温湯(44~49℃)で解凍します。母乳由来のリパーゼ成分の働きが低下してしまうおそれがあるため体温以上に温めてはいけません。                                             

自然解凍する場合は、冷蔵庫内で行います。室温での解凍は、細菌数が増えるので避けましょう。                    

熱湯や電子レンジ解凍は、免疫グロブリンA の濃度低下を引き起こすため避けましょう。また、哺乳瓶の上部の温度も高くなり、やけどをさせる危険性があります。                                                   

一度加温した母乳を飲み残した場合でも、再利用はしないようにしましょう。

 <引用・参考文献>                                                   NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会編集、『母乳育児支援スタンダード』 医学書院、2009

 

~初めて母乳育児をされているお母さんへ~

  当院の母乳外来は、乳児健診や予防接種時のほかに、予約制水・金曜日に行っております。どんな疑問点でも些細なことと思わずにご相談ください。

 

 

<第2回 母乳育児講座開催のおしらせ>

        

        日時 : 平成22年7月25日(日) 13:00~15:00

        場所 : とみもと小児科クリニック 乳児健診専用棟

        テーマ:「赤ちゃんのスキンケア&何でもしゃべろう母乳育児 Part.2」

             あおもり県南母乳育児支援ネットワークの会主催

 

        申し込み受け付けは、7月に入ってから改めてお知らせいたします。

 

       

takako  furukawa

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