No.31 『パープル・クライング』

 

近年、乳幼児の虐待件数が増加傾向にあり、その死因のトップが 「乳幼児揺さぶられ症候群」(Shaken Baby Syndrome:以下SBS)であることが知られています。  (Reece et al.,2000)        

日本でも、昨年末に乳児の頭部を激しく揺さぶるなどの暴行を加え、多発性急性硬膜下血腫などのため一時重体にさせたとして、両親が逮捕された事件がありました。このようなニュースを聞くたびに、助産師として心が痛みます。

今回、国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部部長 藤原武男先生のセミナーを受講し、赤ちゃんの泣き行動を理解するための新しい考え方を学んできました。

 

「乳幼児揺さぶられ症候群」を予防するプログラムのひとつとしてご紹介します。

 SBSは、乳児の「泣き」が引き金になっていることが様々な事例報告、実証研究から明らかになっています。発生時期は、乳児の泣きのピーク時期と重なり、生後2~3か月にピークを迎えます。日本では7~9か月にももう一度ピークがあることが報告されていますが、そのメカニズムについてはわかっていません。また、SBSは有意に救急車を呼んでいることから、故意ではなく、突発的に行ってしまっている可能性が高いと考えられています。赤ちゃんの泣き行動を学び、対応を知っておくことが予防の第一歩です。

 

生後2~3か月における乳児の泣きの特徴を知りましょう

 PURPLEとは(Barr et al. pediatrics ,2009)

乳児の泣き方の特徴を、PURPLE(パープル)という英語の頭文字で表現

「パープルクライング」と呼ぶ理由は、親を悩ます乳児の泣き行動を示す英語の文字にあります

P : PEAK OF CRYING     ピークがある

U : UNEXPECTED        予想できない

R : RESISTS SOOTHING     なだめられない

P : PAIN‐LIKE FACE       痛そうな表情

L : LONG LASTING        長く続く

E : EVENING           夕方

 

 赤ちゃんが泣く理由には、

◆  おなかがすいた  ◆ ねむい  ◆おしっこ・うんちがしたい ◆ さむい・あつい ◆ さみしいよ

さまざまな理由があります。

でも、覚えておいてください。

赤ちゃんは理由もなく泣くこともあるのです。

生後5か月までの間は特によく泣きます。

 

赤ちゃんに泣かれたら、いろいろな方法でなだめてみましょう

club   おなかがすいていたり、眠かったり、おむつが汚れていないかを確かめる

club   赤ちゃんを抱いて歩いたり、歌ったりする

club   お風呂に入れてあげる

club   散歩やドライブに行く

club   抱き寄せてスキンシップする

 

毎回うまくいくわけではありません。

泣く時間が減らせるかもしれませんが、なだめてもいつも効果があるとは限りません。

何か問題があって泣いているのか、医師にいつでも相談できることを忘れないでください

 

泣かれるとイライラするのはなぜでしょうか

carouselpony   思っていたよりもよく泣く

carouselpony   考えていたよりも大変

carouselpony   何をしても泣きやんでくれない

carouselpony   自分は悪い親で、間違ったことをしているような気がする

carouselpony   疲れてしまって、赤ちゃんを世話できていないことに罪悪感を覚える

carouselpony   親として失格だと思う

 

怒りを感じて動揺してもいいのです。

その気持ちにどう対処するのかが大切です。

泣き声からちょっと離れて、自分をいたわってあげてください。

 

必ず覚えておきましょう(泣かれてイライラするときに)

1.赤ちゃんを抱いて、なだめて、歩いて、語りかける

2.我慢しきれなかったらその場を離れてもかまいません

3.決して赤ちゃんを揺さぶったり、暴力を振るったりしないこと

 

揺さぶるとなぜ危険なのでしょうか

親がわが子を揺さぶり、暴力をふるう。第一の理由が泣かれること 

赤ちゃんを揺さぶると、以下につながることもあります

◆ 失明   ◆けいれん  ◆学習障害  ◆身体障害  ◆死亡

 

赤ちゃんを見てくれる全ての人に知ってもらいましょう

bud   パープルクライングについて

bud  正常に泣いても、とてもイライラさせられること

bud 赤ちゃんを揺さぶることの危険性

bud  赤ちゃんを安全な所に寝かせ、ひと息入れてもかまわないこと

bud  我慢しきれなくなったらいつでも連絡してくれてよいこと

 

以上の内容は、National Center on Shaken Baby Syndromeの乳幼児揺さぶられ症候群防止プログラムの冊子より、一部抜粋して紹介しました。詳細は ホームページをご覧ください

http://dontshake.org/

 

 とみもと小児科クリニック 母乳育児支援外来   TAKAKO FURUKAWA (^0_0^)

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