No.28 『うまく吸わせられない』

「赤ちゃんがうまく吸いつけない」、「吸っても長く続かない」、「嫌がって拒否する」など、このような状態が続くと授乳タイムがだんだん辛くなっていきますね。 weep

出生直後より適切な支援を受けて授乳ができていると、大半はスムーズに母乳育児が開始されます。しかし、直接授乳が十分にできていない状態で退院すれば、継続的な支援が必要とされるでしょう。

早期の支援は産科中心ですので、当院での症例は多くありませんが、いくつか気づいたことをお話します。

 直接授乳を困難にしている要因は何でしょう?                                    授乳の様子を見せていただくと、そこにヒントが隠されていることに気づかされます。赤ちゃん側から、お母さん側から、それ以外の要因(母乳育児を阻害するような慣習)を丁寧に見直していくと、現状に合った修正が必要になってくる場合があります。

 

母と子の双方がリラックスして効率よく授乳ができていますか?

ポジショニング&ラッチオンは月齢が進むと修正が難しくなっていきます。入院中に教えられた授乳姿勢やくわえさせ方が適切であるかどうか、できれば2週間健診や家庭訪問時に確認してもらいましょう。経産婦だから大丈夫と、安心してはいけません。うまく吸わせられないと、つい力が入り構えただけで泣きだす赤ちゃんがいます。頭を抑えつけず、心地よい姿勢で、赤ちゃんのペースに合わせて、ゆったり、焦らず、吸わせるのがポイントです。授乳姿勢もいろいろ試してみましょう。

 

乳頭・乳輪の形態および伸展性

乳頭が扁平または陥没していても、くり返して吸わせているうちに「吸い口」が形成されて、直接授乳が可能になっていきます。最初のうちは十分な量を吸いとることができませんので、補足(搾母乳またはミルク)をしながら、経過をみていきます。乳汁分泌にブレーキがかからないようにセルフケアも大切。搾乳技術は皆さん上達しますよ。

とにかく、諦めないで、できるところからトライしてみることです!

現在、生後4か月のT君は、直接授乳の練習中です。 penguin                                 扁平乳頭のため、ずっと搾母乳を与えていましたが、最近になって吸い始めるようになりました。むずがることも多いそうですが、お母さんはゆったり構えています

 

乳頭混乱

人工乳首(哺乳びん)やおしゃぶりを使用していると、赤ちゃんが乳房を吸わなくなることがあります。入院中からニップルシールド(乳頭保護器)を使用されている方も、できるだけ早く外して直接授乳に切り替えましょう。

赤ちゃんの「空腹のサイン」

「うまく吸わせることができない」というお母さんの多くは、「赤ちゃんが泣いたら飲ませる」という方法をとっているようです。実は赤ちゃんが泣くというのは空腹を訴える最終的な手段といわれています。泣く前にタイミングよく吸わせてみましょう。

視覚障害(全盲)のお母さんより                                               「赤ちゃんが泣いてしまうと様子がわかりにくくなるので、泣く前に吸わせているのよ」と、15年前に教わりました。

 

    児の空腹のサイン    (出典:「母乳育児支援スタンダード」医学書院 より)

*     おっぱいを吸うように口を動かす

*     おっぱいを吸う時のような音をたてる

*     手を口に持っていく

*     素早く目を動かす

*     クーとかハーというような柔らかい声を出す

*     むずかる

 

 母乳外来を開設して4年目になりますが、、乳児健診を待たずに、相談に来られるお母さんが徐々に増えてきました。小児科ですので、例えば、乳児湿疹や鼻詰りの症状で受診されたついでに相談できるという気軽さがあります。さらに、生後2か月から予防接種(ヒブ、肺炎球菌ワクチン)がスタートしたことも要因かもしれません。 はじめての出産、母乳育児をスタートさせたお母さんにとって、退院後のきめ細やかなサポートは必要です。どうぞ気楽に相談してください。

 

 とみもと小児科クリニック 母乳育児支援外来 TAKAKO FURUKAWA  (^0_0^)